会社が経営資金を調達する方法は主に2つあります。1つは募集新株の発行(増資)です。増資により、会社経営の構成員である株主が誕生します。
残りの1つは、社債の発行です。社債は会社の債務であり、株主という構成員は生じません。
いずれの手続によっても、会社資金を機動的に調達することができますが、増資手続をすると株主(構成員)が生じてしまいますので会社経営に若干の影響があると思われます。
なお、従来の商法では、株式会社が増資を行う場合「新株発行」と言いましたが、新会社法では「募集株式の発行」と呼ぶようになりました。
<増資の流れ>
1.募集株式の募集事項の決定
会社は、募集株式の数、払込金額などの募集事項についての決議をします。この決議は、原則として株主総会で決議します。公開会社の場合は、取締役会で決議をします。
2.株式の申込、割当、引受
会社に対し、株式の引受の申込をすると、会社は申込者の中から募集株式の割当を受ける者を定め、その者に割当数を定めます。この時点で株式引受人としての地位が確立されます。
3.株式引受人の出資金の払込
発起設立と同様、払込取扱手続が簡素化。現物出資をする場合の要件が緩和されました。金銭債権を現物出資することが解禁。
4.株主になる時期と登記手続
(i)払込期日がある場合
出資者が株主になる時期=払込期日 払込期日のから2週間以内に登記必要
(ii)払込期間を定めた場合
出資者が株主になる時期=払込をした日 払込期間の末日から2週間以内に登記必要
<募集株式の発行による変更の登記に必要な添付書面>
1.募集株式の引受けの申込又は募集株式の総数の引受を行う契約をしたことを証する書面
2.金銭を出資の目的とするときは銀行等への払込を証する書面
3.金銭以外の財産を出資の目的とするとき
(イ)検査役が選任されたときは、検査役の調査報告を記載した書面およびその附属書類
(ロ)市場価格のある有価証券を出資の目的とするときは、有価証券の市場価格を証する書面
(ハ)現物出資財産の価額が相当であることにつき弁護士、弁護士法人等の証明を受けたときは、その証明を記載した書面及びその附属書類
(二)株式会社に対する金銭債権を出資するときは、その金銭債権について記載された会計帳簿
4.検査役に関する裁判があったときは、その謄本