遺言と不動産登記

先日、東京司法書士会で「遺言」についての研修がありました。公開講座だったようで、司法書士以外の一般の方も参加されていて、新鮮な感じで受講できました。
講師の司法書士が、遺言の種類、書き方等の基本的な事項を丁寧に解説していました。なお、遺言をする場合、概ね不動産を所有する人が多いという話も聞きました。
そして不動産と遺言についても改めて知識の確認ができました。
遺言書で、Aさんが第三者であるBさんに不動産を遺贈するため遺言書を書きました。A死亡後、遺贈による所有権移転登記をする必要があります。
不動産登記の申請をする場合、遺言で「相続」を原因として親族から相続登記をする際には、名義を受ける親族自身が単独で所有権移転登記を申請することができます。しかし、親族ではない第三者に移転登記をする場合は「遺贈」を登記の原因として所有権移転登記をしなければなりません。この「遺贈」の登記は単独で申請することはできませんので、Aさんの遺言書に遺言執行者の指定がある場合はその遺言執行者とBさんが共同して所有権移転登記を申請することになります。遺言書に遺言執行者の指定がない場合は、Aの相続人全員が登記義務者として登記申請をせざるをえません。
そうすると遺留分を有する相続人が登記義務者になることもあり、遺言内容を良く思っていない相続人が手続に協力しないことが考えられ、遺言内容の実現が困難になってくることが考えられます。
第三者に不動産を遺贈する場合、死後に所有権移転登記をスムースに行うには遺言執行者を遺言書に書いておくべきと考えます。
ちなみに、過去、遺言書をご持参のうえ登記を依頼くださった方のうち、「この文言では登記が難しい、できない。」という文言の遺言がありました。法務局に私の見解を述べて、何とか登記できたものもあります。遺言書を書く前に専門家に相談したほうが確実だと思います。
 

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