「遺産分割による贈与」の登記

子のないAさんが死亡しました。Aさんには配偶者のBさんと、Aさんの実母Cさんがいました。相続人はBさんとCさんになります。
BさんはAさんとの思い出をたくさん遺しておきたいと考えていましたので、Aさんの遺した財産すべてを1人で相続したいと考えていました。しかしBさんが1人で財産を承継するとCさんの相続分がなくなってしまいます。ここで実母Cさんが相続による権利を全部放棄することも可能ですが、それでは余りにもCに不公平になる場合があります。案件の置かれた状況などにもよりますが、今回は諸般の事情によりCさんにも何らかの財産を相続させることになりましたが、Aさんの相続財産は、現在Bさんも居住している不動産しかなく、Aさんはまとまったお金も遺していなかったので、実母に何の財産をどうやって与えようかと悩みました。
そこで考えました。
Bさんは、Cさんの息子Dさん(DはAの弟)と、それぞれ2分の1づつ、ある別の土地を共同所有していました。この土地の持分2分の1をBさんがCさんに譲渡することにしました。こうすることで後々Cさんが死亡した後、Dさんがその土地持分をCさんから相続すればDさんが単独所有者になり土地を1人で利用することができるようになります。
つまり「BさんがAさんの財産を全て相続する遺産分割協議をする代わりに、Bさんが現在持っている別の土地持分2分の1をCさんに譲渡して遺産分割協議を完成させる」という遺産分割協議を成立させました。このような協議で不動産を譲渡する行為は「遺産分割による贈与」というもので、法務局に登記を申請する際、登記原因という項目に「遺産分割による贈与」と書いて出します。
それにしても、こんな登記、司法書士試験の受験勉強でやっただけでした。今まで実務をやっていて出したこともありませんでした。今回は何か手がないかとやってみました。何とか登記を申請し完了できました。
ちょっと変わった登記申請でした。ちなみに電子申請で出しました。
 

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